●会計知識の偏り是正を
1月5日号の「時価会計は経済危機の犯人か」を読んだ。藤沼亜起氏の意見に賛成だ。日本で求められている会計基準は、実態を正確に示すための基準ではなく、投融資先の企業が安全なことを示してくれる基準だ。
こんな本末転倒な状況に至ったのは、会計リテラシーの偏りがあるからだ。金融知識が乏しいために齟齬が起きる時がある。例えば、貸し渋り批判に呼応し、中小企業の資金需要に懸命に応えた銀行があるとしよう。結果として、その銀行の自己資本比率が下がったら、預金者は銀行に報いて預金残高を増やそうとするであろうか。
貸し渋りに遭っている企業側も、自らの財務状況を把握していなかったり、アカウンタビリティー(説明責任)を果たしていないことが、銀行との溝を埋められない主たる原因の1つだ。
今回の金融危機を教訓に、日本での会計に関する認識が転換されることを望む。
【関連する記事】